先月10月31日木曜日夜、済生会横浜市東部病院で行われたロボット支援手術最新機器(ダ・ヴィンチ Sp)のお披露目会に参加してきました。da Vinci Spは2024年10月に済生会横浜市東部病院が神奈川県内で初めて導入し、始動したとの事です。
余談ですが、その日は開業当初からずっと憧れを抱いていた横浜市医師会ゴルフ部に今年6月より入部する事ができ、月1回の横浜市医師会ゴルフコンペに参加した後に、会場であった磯子カンツリークラブから直接ハシゴして東部病院入りしました。ここだけの話ですが、先月は42-42の84でラウンドでき、ハンデ15のおかげでNETで3位入賞を果たしたんですが、この日は大乱調で、左に右にとドライバーが曲がり、林の中からのリカバリーで、木から木にカコンカコンと脱出できずに何打も費やし、50-47の危うく100叩きの刑に処される寸前の結果に終わってしまいました、、、。
そんな、精神的にも落ち込んでいる状態でのダ・ヴィンチSpお披露目会の参加となってしまいました。しかし、済生会横浜市東部病院ロボット手術センター長である泌尿器科部長の石田 勝先生からの講演を拝聴し、また、婦人科、消化器外科、呼吸器外科での複数の診療科にまたがりダ・ヴィンチSpが画期的に使用されている状況を目の当たりにしていくうちに、私の落ち込んだメンタルも徐々に上向きになり、これから手術を受けられる患者さんへの手術侵襲が劇的に軽くなっていくんだなあ、と感動しました。ダビンチ手術のすごさは腹腔鏡手術と大きく違い、支点が無いため、組織を把持したり、凝固、止血、切除の際に使用するデバイスが、器械でありながら関節を持ち合わせている様な人間の指や手首の動きがそのまま再現できるほどの可動域の広さと巧緻性にあります。また、座った状態でコンソール内から拡大した術野が良好な視野で観察することができ、フットスウィッチで3D画面に切り替えられたり、両手の3本指で鉗子を操作したり縫合出来たりと、とにかく開腹手術はおろか、腹腔鏡手術をも完全に陵駕しています。さらにダ・ヴィンチSpは従来のダ・ヴィンチXiまではカメラを始め、複数の鉗子を使用するにあたり1鉗子あたり1つのロボットアームが必要となるため、カメラと鉗子の数だけ別々にこれらを体外から体内に通すシース(筒)の穴が腹壁に出来てしまいます。ところがSpはそれらを一つにまとめて単項式で行えちゃう(カメラ、鉗子が一つの穴から操作出来てしまう)のだから、さらに患者さんへの体の侵襲は減り、術後の傷も臍部にほんの少しだけ残る程度になります。盲腸の手術、鼠径ヘルニアの手術、胃癌、大腸がん、前立腺癌、子宮癌、卵巣がんetc、開腹手術の時代には我々が理学的所見を取る際に、おおよそ既往歴にどんな手術をしてきたかだいたい分かりましたが、これからの時代はお腹を見ただけではほぼ手術歴は当てられないという事になります。また、女性の子宮や卵巣手術においては、症例によっては経腟的に手術(vNOTES)とダ・ヴィンチの組み合わせが行えるため、腹壁に傷跡が付かなくなり女性にとってもものすごいありがたい術式となります。いやー、すごい時代になりましたよね??昨今、肉体的にハードな外科系の医師離れが問題視されておりますが、座ってできるため、医師の体力消耗の軽減になり、また、患者さんへの侵襲も軽減されるとなると、外科系手術人気は今後上向きになる事は必至で、外科系医師の減少に歯止めがかかるのではないか?と期待しています。
最新の単孔式手術支援ロボットda Vinci Sp:一つのシースから、カメラと鉗子が出てきています。従来のものより鉗子同士の干渉がなく、術者の術中ストレスの軽減になっているとの事です。
実際に私も手術室に入らせて頂き、da Vinci Spのデモ機で操作を体感させて頂きました。実際にコンソール内で3D画面にすると、前後、上下の距離感や深度が明確に把握できるため、写真のごとくリングを把持して、移動し、別の箇所へ移動させたりも数分で慣れてきました。いやー、楽しくなって途中没頭してしまいましたね。さらに、ダ・ヴィンチ手術の欠点として、組織を把持したりしても触感がないため、組織にかかる圧力が体感できないことでしたが、その欠点も補えるような装置がすでに開発済で近いうちに実用化されるとのことでした。
da Vinci Spサージオンコンソール内で実際に操作しているところ。楽しくなり、どんどん沼ってしまいました、、、。
こんな風に器用に一円玉を把持したり、リングを把持して移動させたりと自由自在にストレスなく術野を展開できます。
我々の時代は、手術と言えばほぼ開腹手術で、手術の勉強といえば教科書(途中から動画も見られるようになりましたが)しかありませんでしたが、今の時代は手術前に何度もシミュレーションして練習が出来ますから、手術技能の習得は相当早いんだろうなと感じました。また、術者の技量にも開腹手術ほどの格差は生じないのではないかとも勝手に思ってしまいました。もう一度若返りしてダ・ヴィンチSpで手術してみたいなあ、、、なんて思わされましたね。
コンペ帰りでかなり落ち込んでいましたが、da Vinci Spを実際に体験出来て気持ちも上向きになり、とても充実した10月31日木曜日となりました。
お邪魔させて頂いた済生会横浜市東部病院の関係者の皆さんに、遅くまでお付き合いいただき感謝したいと思います。
ありがとうございました!!
済生会横浜市東部病院ロボット手術センター長である泌尿科部長石田 勝先生と